れいわ新選組の組織論

2019年11月29日に私は、名古屋の山本太郎街頭記者会見に参加した。そこで私は次のようなことを言った。

れいわ新選組って、言ってますが、実際は山本太郎一人で走り回っているようなもんです。私も、ボランティアの一人のようなものでございまして、そういうその、太郎を支えようという人の力でようやく動いているのが、れいわ新選組で、多分、この体制は永久に変わらないと思うんです。

というのは、太郎さん、組織運営苦手ですよね?(「はい」と山本太郎の返事)組織作る気がないんです。ですから、皆さんがれいわ新選組だと思えば、それはれいわ新選組のメンバー、みたいな組織だと思っています。ぜひですね、そうやってすぐに、参加者として、主体を以て参加できる、というこの波に乗っていただきたい、と思います。

それと同時にですね、いくら乗っても、山本太郎さん、言うことを聞かないです。言うことを聞かないからこういうことをやっているので、自分の思っている通りに動かないからといって、キレないでほしい。

そうじゃなくて、私もそうです、太郎さんと考えも違うことがたくさんあります。もちろん。だけど、山本太郎という人間が動き回って、こんな大きな力を作り出してくれているからこそ、私もですね、立候補とかできました。その目的はですね、太郎さんを支援することでもあるし、山本太郎の力を使って、私のやりたいことをやりたい。そう思って参加させてもらっています。これがれいわ新選組だと思うんですね。それが、いわゆる政党政治とは、ぜんぜん違うところだと。

そんなものはいったいどうなるかわからない、恐ろしいなにかファシズムかなにかの一部ちゃうか、みたいなことを言う人がいます。ま、そうなんのかもしれない、もしかしたら。(「なんちゅうこと!」と山本太郎の反応)人間がやっていることですからね、何がどうなるかわからない。なるかもしれない。

だけど、あの私は保証しますけど、もしもそうなったときには、多分、山本太郎はそこにはいないですね。ファシズム運動になっていたら、もうそこには山本太郎はいない、と思います。それは保証できると思う。

なので、れいわ新選組、こうやって集まって、私たちが何を実現してくれるんだ、ということではなくって、ここで起きているこの力に自分も乗って、その波に乗ってみて、自分で何かを、お一人お一人が引き起こしていただきたい、と切に思って、私も今日、その参加者の一人として、参りました。

 これは、私が参院選に候補者として参加して以来、山本太郎さんの行動様式を観察して到達した結論を手短に表現したものである。私だけではなく、他の候補者もそう思っているのではないか、と思うのだが、とにかく、れいわ新選組では、事前の相談とか連絡とかがない。何事も、直前になって、こうします、という話が来るだけなのである。そもそも、渡辺照子さんなどは、公示日の前日に「明日、立候補して」と言われたりする始末である。こんな重大なことがこの有様であるから、それより小さなこともはすべて、突然に決まる。

この行動様式は、選挙期間中のことだけではない。選挙が終わって一段落したら、さすがに今後のことをどうするか相談する場が設けられるか、と思ったけれどそれはなかった。あったのは、一人30分の面談で、「今後の選挙に出る気はありますか」という意思確認だけであった。落選した候補者全員が集められて、順番に面談し、最後に総会が開かれて、ほとんど何も書かれていないような規約が決議されて、それで終わりであった。

そこから太郎さんは、参院会館の事務所と選挙事務所とを引き払って、新しい事務所を確保し、政党助成金を受け取る手続きをして、二人の当選者のスタッフを確保して、云々という嵐のようなドタバタを切り抜け、終わったら間髪をいれずに全国行脚に出てしまった。

それ以来、私は太郎さんに会っておらず、その上、昨日の名古屋の街頭記者会見も事前の打ち合わせもする時間がないまま始まってしまった。私が最初の発言で「太郎さん、お久しぶりです」と言ったのは、そのためである。

この間ずっと、私は、山本太郎はいったいどういうつもりでこんな綱渡りの運営をしているのだろう、と考え、それを前提にして自分はいったい、どういうつもりで臨めばいいのか、を考えてきた。名古屋での私の発言は、その結論である。

こういうやり方は、ともすれば、トップダウンの独裁制のようにも見える。しかし、れいわ新選組では、ああしろ、こうしろ、と言われることがほとんどない。基本的に「こうしろ」と言っているのではなく、「山本太郎はこうする」という決定が、直前になって突然、下される、ということの連続なのである。

となると、私に出来ることは、「山本太郎がああやるのなら、自分はこうする」ということを勝手に決めて行動する以外にない。選挙期間中も、馬で選挙をするために私は、れいわ新選組とは別に、勝手に寄付を集めて勝手に選挙をやった。選挙期間中の数少ない司令は、14日と最後2日はれいわ祭をするから、東京に集まって欲しい、ということであったが、私は全員が東京に集まるのは中央集権的で良くない、と思ったから、最終日は勝手に大阪の通天閣の下でファイナルをやります、と言ったが、それについても、何らの意思表示もなかった。供託金やら選挙資金やら、一人一千万円くらいかかっているというのに、候補者に言うことを聞かせようとしないこの態度は、まことに太っ腹であり、独裁的とはまったく言えない。

つまり、山本太郎は、山本太郎で、自分の好きなように動くから、あなたも自分の好きなように動いてください、ということなのである。ここで私が、山本太郎はこうすべきだ、と進言したって、余計なお世話に過ぎない。

私は、山本太郎さんから立候補してくれないか、というオファーを受けた時に、れいわ新選組の政策に反対だと言うかもしれないが、それでもいいのか、と言ったら、どうぞどうぞ、ということでお引き受けした。私の立候補の目的は、その段階では候補者が蓮池さんしか決まっておらず、候補者を見つけるのが大変そうだから、ここは太郎さんをお助けしよう、ということであったが、同時に、私にはこの波に乗って誰も見たことない選挙をやり、「子どもを守る」を政治の原則とすべきだ、という考えを人々に伝える、という目標があり、その実現のために、この機会を利用させていただいた。そして、その有様を、原一男監督にドキュメンタリー映画として撮っていただくことで、誰も見たことのない選挙を、多くの人に見ていただくことを目指した。

そして原一男監督は原一男監督で、面白い選挙の映画を撮りたいという目的を、私の選挙に乗っかって実現しようとされた。それが東京国際映画祭で特別上映された『れいわ一揆』である。この映画は、年明けに一般上映が開始されて、春辺りから、自主上映を主体として全国で見ていただけるはずである。この映画の上映が今度は、多くの方にれいわ新選組という運動がどういうものであるのか、知っていただく機会を提供するものと期待する。海外の映画祭にも出品するそうなので、そうなればその範囲は、国境を越える。


このようなコミュニケーションの連鎖を引き起こすことが、れいわ新選組の「組織論」なのだ、と私は考えている。そこには、中心も境界もない、因果縁起の広がりゆく網の目が展開しているだけである。もちろん、今のところは、山本太郎という巨大な中心が聳え立っており、そこに集まるエネルギーと、そこから発するエネルギーが圧倒的であるが、その構造がいつまでも続くようであれば、れいわ新選組は失敗なのである。

さて、街頭記者会見が終了したあとに、会場で、女性の方から、資料を渡されて見てほしいと言われた。それは「れいわ新選組の政党組織についての提言」と題されており、「研究猫とも」というペンネームで2019/11/26 18:12に note にアップされた記事のコピーであった。(https://note.com/reiwanekotomo/n/nba92a74fbba9)将来リンクが切れたら困るので、一番下に本文を貼っておく。

そのなかで、れいわ新選組のあり方について、以下の問題がある、と指摘している。

第1に、情報公開が不十分なことです。例えば、政党の運営方針、寄付金の収支など、支持者が知りたいと思う情報が十分に公開されていません。

第2に、政党組織の方向性が見えないことです。山本代表もガチガチの組織にはしたくないと発言されています(下記動画参照)が、現状は完全なるカオス状態です。ガチガチの組織でもなく、カオス状態でもない組織のあり方を考える必要があります。

第3に、カオス状態ゆえに、結果として密室での決定とトップダウンに陥っていることです。支持者・ボランティアには、党の決定について粛々と協力をするか、それとも協力をしないか、という選択肢しかありません。

第4に、支持者のリソースが十分に活用できていないことです。支持者の中にはいろいろな専門家がいます。私は一応政策学を専門としていますし、デザインができる人、マーケティングが分かる人、さまざまな能力を持った支持者がれいわ新選組にはたくさんいます。しかし、「私にはこんな知識・技術があるので、こんな協力をしたい」と思っていてもそれが活かされず、支持者のリソースが十分に活用できていないのが現状です。

そしてこれを解決するためのいくつかの提言がなされている。

なぜこのような「問題点」がが見えるかは、私の上記の議論をお読みいただければ明らかであろう。そして、これらの問題点を改善してしまえば、れいわ新選組のカオス的運動は、停止する。もちろん、そんなカオスで政権が取れるのか、と聞かれたら、私も、そりゃ普通は無理でしょうね、とお答えするしかない。

しかしこのカオスであればこそ、ここまで来たのであり、今も全速力で山本太郎はカオス的に突き進んでいる。それを止めてしまえば、元も子もない。

こういったことはもちろん、そのうちカオス的運動が停止し始めて、構造化するようになれば、必要になる時が来るかもしれない。それゆえ、研究猫とも氏が、このように構想を練って提言されることには大きな意義がある。そもそも、私がこの記事を書く気になったのは、この提言を読んだからであった。そのようなコミュニケーションの連鎖こそが、何よりも大切だと思う。

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「れいわ新選組の政党組織についての提言」
研究猫とも
2019/11/26 18:12

このnoteは、れいわ新選組の政党組織のあり方についての提言です。ここで公開するだけでなく、機会があれば山本代表や候補者の方々にも手渡したいと考えています。

私がれいわ新選組に期待することは3つあります。

まず、全ての生きづらさに立ち向かう政策です。消費税廃止、奨学金チャラといった、生活に直に効くであろう政策はぜひ実現したいと思います。

次に、しがらみのない政党です。特定の支持母体を持たないために、政策の方向性を自由に定めることができるということは、れいわ新選組の大きな利点であるといえるでしょう。

そして、私がれいわ新選組に最も期待することは、支持者が主役の政党であってほしいということです。多くの政党が、ヒエラルキー型の組織であるために、末端の支持者の声はなかなか中央に届かないというのが現状であると思います。それに対して、れいわ新選組には、全く新たな政党となる可能性があると期待しています。

しかし、れいわ新選組の現状を見たときに、必ずしも期待通りには進んでいないと感じる部分があります。それは特に、政党組織に関することです。

第1に、情報公開が不十分なことです。例えば、政党の運営方針、寄付金の収支など、支持者が知りたいと思う情報が十分に公開されていません。

第2に、政党組織の方向性が見えないことです。山本代表もガチガチの組織にはしたくないと発言されています(下記動画参照)が、現状は完全なるカオス状態です。ガチガチの組織でもなく、カオス状態でもない組織のあり方を考える必要があります。

参考)

山本太郎(れいわ新選組代表)おしゃべり会 山形市 201911月14日

第3に、カオス状態ゆえに、結果として密室での決定とトップダウンに陥っていることです。支持者・ボランティアには、党の決定について粛々と協力をするか、それとも協力をしないか、という選択肢しかありません。

第4に、支持者のリソースが十分に活用できていないことです。支持者の中にはいろいろな専門家がいます。私は一応政策学を専門としていますし、デザインができる人、マーケティングが分かる人、さまざまな能力を持った支持者がれいわ新選組にはたくさんいます。しかし、「私にはこんな知識・技術があるので、こんな協力をしたい」と思っていてもそれが活かされず、支持者のリソースが十分に活用できていないのが現状です。

以上のことから、れいわ新選組の現状として、支持者が主役の組織になっているとはとても言い難い、ということが問題です。以下、れいわ新選組を支持者が主役の政党にするために、5つの提言をしていきます。

提言の1つ目は、積極的な情報公開です。綱領・規約については既に公開されていますが、内容が不十分な点もあります。運営会議の議事録(あるいは運営会議そのもの)を公開するなど、決定過程をもっと透明化してもらいたいです。また、役職や運営方針についても公開してもらいたいところです。更に、寄付金の収支を毎月公開することは、より多くの寄付を集める上でも重要だと思います。

参考)

・れいわ新選組の「20億寄付要求」は何が問題なのか – 党規約の早期策定を https://note.com/mika_netouyo/n/n7efd0971e830

・れいわ新選組の代表任期・選出規定なき「党規約」の問題

https://note.com/mika_netouyo/n/naaa62a00e6f7

なお、これらを実行するのに人的資源が足りない、という問題があるのであれば、その問題を含めてオープンにすべきです。そうすれば、支持者もアイデアを出したり労力を提供したりということがスムーズにできるようになります。

提言の2つめは、政党組織の方向性です。

まず、ガチガチのヒエラルキー組織でもなく、秩序のない組織でもない、ゆるやかな分散型ネットワークを作ることです。

金子郁容は、指揮者のいないオルフェウス室内管弦楽団や、リナックス・コミュニティを例に、自発性が集まることで成立する新たな組織のあり方を提案しています。また、オープンソースプロジェクトが開発過程をすべて公開にするということの利点として、プログラムをテストしてくれる人がたくさん出てくること、参加者が誇りをもち、ひとりひとりが責任感をもってプロセスにかかわっていることを挙げています(金子2002:55)。

参考)

金子郁容(2002)『新版コミュニティ・ソリューション:ボランタリーな問題解決に向けて』岩波書店。

次に、出入り自由なメンバーシップとすることです。具体的には、党費は取らず全て自発的な寄付でまかなう、メンバーになるのも外れるのも自由とするといったことです。

そして、ほぼ全ての会議をオープンにすることです。例えば、ほぼ全ての党内会議をYouTubeで中継すれば、支持者は今何が問題になっているのか、自分に何ができるかということを知ることが出来ますし、アイデアがあればコメントすることもでき、双方向のコミュニケーションが成立します。

なお、政党組織の呼び名としては、「れいわ新選組オーナーズ」や「れいわプラットフォーム」を提案したいと思います。

提言の3つ目は、決定のルールです。民主的な決定というと、多数決を思い浮かべる人が多いと思いますが、多数決は必ずしも民主的ではありません。組織が多数派と少数派に別れている場合、必ず多数派が勝ってしまうからです。民主主義において重要なのは、第1に全ての意見を出し尽くすということ、第2に決定方法に全てのメンバーが納得していることです。ここでは、決定方法としてリーダー(すなわち山本代表)による決断を提案します。「それは結局独裁ではないか」と思われるかもしれませんが、2つのルールが守られている以上、多くの人は決定に納得するはずです。この納得こそが民主主義の肝です。

提言の4つ目は、支持者との関係構築です。組織が人々との信頼関係を構築し、維持する一つの方法は、問題提起と意見募集を組み合わせることです。

政党組織の側は、支持者に向けて定期的に、今課題となっていることを問題提起という形で発信します。そして、その課題についての意見を募集します。支持者は、問題提起に応えて意見を寄せます。政党組織は寄せられた意見を集約し、代表的なものを取り上げながら、更なる問題提起につなげます。これを繰り返すことで、決定のルールで取り上げた「全ての意見を出し尽くす」ということにつながっていきます。

このような仕組みを作ることで、何らかの不満を抱えていた支持者も、少なくとも自分の意見を受け止めてもらえた、尊重された、ということで納得感が向上します。また、特に不満を持っていなかった他の支持者にとっても、こういう問題点もあるのか、と多様な視点を知ることができます。こうしてコミュニケーションを円滑にすることが、政党組織と支持者との信頼関係につながります。

以上の提言を実現するための具体的な方法が、提言の5つ目です。私は現在、「黒幕連🐾れいわ新選組支持者の集い」というチャットサーバの管理者を務めています。黒幕連は、Discordというサービスを利用したれいわ新選組支持者のためのネットワークです。PCブラウザからも、スマホアプリからも利用ができ、話題ごとに複数のチャットルームを使い分けることができます。オープンなチャットルームを作ることも、メンバーを限定したチャットルームを作ることもできます。

このDiscord以外にも、Slack、Chatworkといったグループウェアやチャットツールが、ビジネスの世界で社内コミュニケーションの手段として急速に広まっています。これらのツールによって、全国の支持者と、山本代表、2名の議員、参院選の候補者、衆院選の予定候補者、事務所スタッフが共有するプラットフォームを構築したいと考えています。そうすれば、全ての情報が一箇所に集約され、迅速にコミュニケーションを行うことができます。こうして、ゆるやかな分散型ネットワーク、そして支持者が主役の政党組織が実現できると考えています。

黒幕連には下記URLから参加できます。匿名で参加もできるので、れいわ新選組関係者の方々もまずは偵察に来て頂ければと思います。もちろん、支持者のみなさまのご参加もお待ちしております。以上、ぜひご検討ください。

黒幕連招待URL: https://discord.gg/VV8eEnS