基本政策〜具体的懸案への回答〜

2018年6月29日、東松山市役所総合会館の記者室にて記者会見を開き、「基本政策」を発表しました。以下がその内容です。普通の考えでは、これが「公約」ということになるかと思いますが、私にとっては、「既に現れている懸案に対して、私の理念からすると、どう回答するか?」という観点で整理したもの、ということになります。

私にとって最も重いのは、「東松山でなにをめざすのか〜地方自治の基本理念〜」です。政策をめぐる選挙ではなく、どのように感じ、どのように考えるか、という選挙だと位置づけています。

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―「こどもを守る」という観点から、おとしよりを支え、だれもが豊かなくらしを楽しむための市政を―

【概要】

これは既に公表した「東松山でなにをめざすのか〜地方自治の基本理念〜」および「方策メモ」にもとづき、東松山市政において既に具体的に問題になっている事案について、私の判断を示したものです。「東松山・・・」が理念を、「方策メモ」が構想を語るものであるとするなら、これは通常の政治的言語で語った「具体案」となります。もっとも、理念・構想のなかにあって、まだ政策となっていないものも、たくさんあります。
その中でも、おそらく、市民にとって影響が大きいものは、以下ではないか、と考えています。

・小中学校の給食費の無償化および高校卒業までの医療費の無料化
・「全国学力学習状況調査」(全国学力テスト)の学校別結果の公表中止
・高坂に、子どもが楽しい学校を建設し、マンモス化を解消
・国保税の一人当たり1万円(年額)の引き下げ
・自動車を規制し、中心市街地に「にぎわい特区」を指定
・東松山東部土地区画整理地域の地盤沈下対策問題への抜本的取り組み

これらの政策はそれぞれに重みがあり、その達成が容易でないことは承知していますが、個々バラバラに達成を目指すのではなく、理念および構想に基づいた有機的な戦略の一部として取り組んでまいります。
もちろん、できもしないことを、権力で無理やり推し進めることなどありえません。変革は、人々の感じ方、考え方が変われば、自ずから実現します。私が目指すのは、政権ではなく、人々の感じ方の変革です。

1 基本理念
比企丘陵は、東京という巨大都市からわずか数十キロに位置しながら、美しい景観と生態系とに恵まれ、しかも歴史的文化的に豊かな資源を持っています。しかし、これらの資源の価値は十分に認識されておらず、競争主義・成果主義・市場メカニズムの新公共経営(新都市経営)に基づく政治的経済的な動機による「開発」によって破壊されつつあります。この破壊を止め、価値創造的な保全と活用とに一刻も早く転換する必要があります。
このような転換にとって最も大切なことは、「こどもの視点」に立つことです。「こどもを守る」、より具体的には、すべてのこどもに「くう、ねる、あそぶ」を通じた学習を保障するなら、おのずと東松山市の将来が開ける、と考えます。
また、65歳以上の高齢者の4割が「生活が苦しい」と市民アンケートに答える中で、今市民が切実に求めている市政は、市民の痛みや苦しみに耳を傾け、その声を活かすことで創造的に解決して新しい価値を生みだし、それによってくらしを応援し、すべての人を大切にする市政です。
私はこどもを守ることを市政の原則とし、「生活環境の改善と自然環境の保全」をめざし、ひとびとのくらしを豊かにする市政をすすめます。これこそが、憲法第二十五条に規定する、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」および、地方自治法第一条に規定する「住民福祉の増進」を実現する道だと信じます。
私は、市民の命と健康が守られ、こどもとおとしよりが大切にされ、くらしと自然が豊かになる市政をめざすために全力を尽くします。

2 基本政策
一、社会保障(健康で文化的な生活)の充実
1.高すぎる国保税の一人当たり1万円(年額)の引き下げ
2.介護保険料・利用料の市独自の減免制度を創設
3.在宅医療の支援と市民病院に緩和ケア(ホスピス)病棟の設置
4.高齢者、障害者に対応する公的ケア付きグループホームの建設(古い家屋の改修を含む)
5.市民のサークル活動及び芸術活動への支援
6.歴史・民俗・工芸資料館の建設及び埋蔵文化財センターの充実
7.市民病院の救急医療の全面再開をめざす

二、こどものくらしづくり―すべてのこどもに学びと「くう、ねる、あそぶ」を保障
1.小中学校の給食費の無償化
2.「全国学力学習状況調査」(全国学力テスト)の学校別結果の公表中止
3.学力テスト対策の授業から学びの意欲を高める授業への転換
4.民間保育園職員の飛躍的な待遇改善を目指す総合的対応
5.高校卒業までの医療費の無料化
6.「化石と自然の体験館」の充実、「子どもの広場」拡充、児童館の建設
7.高坂小マンモス化解消(高坂に子どもが楽しい学校の建設)、学校環境の改善
8.安全安心で楽しい通学路及び児童公園周辺の環境整備
9.文科省通達に従い、児童生徒・教職員に週2日の休養日の厳格な確保
10.加害・被害を含むいじめ被害者、登校拒否・不登校児童生徒への支援と癒しの施設(フリースクール、フリースペースなど)利用等への助成

三、民主的な行政―ひらかれた市役所に
1.憲法の規定する個人の尊厳を守り、くらしに活かす市政
2.高齢者、障害者、少数者(マイノリティー)のゆたかなくらしを実現する政策
3.自治体労働者の適正な雇用・労働条件の保障と賃金の確保
4.国と国連が支援する広島平和記念式典への中学生の派遣など、戦争についての教育の充実
5.政策づくりの過程や各種調査委員会資料などの行政情報の積極的公開
6.市内にある歴史的芸術的価値のある文化的資源の積極的活用
7.市職員が市内を巡回し、みなさんと、積極的におしゃべりをする

四、くらし・経済の分野―まちをにぎやかに
1.中小企業振興条例及び小規模事業振興基本計画の制定
2.小額事業資金の多様な調達方法の提供―市の小口融資制度の改善
3.自動車を規制し中心市街地に「にぎわい特区」を指定
4.商店街のにぎわいを再生するための店舗リフォーム助成制度を創設
5.市民生活を向上させ、市内業者の営業を支え、市財政が潤う一般住宅リフォーム助成制度の創設
6.公共施設、交差点、歩車道の段差解消など街のバリアフリー化の促進
7.交差点の安全確保(スペースに余裕のある信号から循環交差点〈ラウンドアバウト〉への転換)
8.糞尿の資源化を含めた、長期的に安定した、分散的で効率的な下水浄化システムの構築及び市街化調整区域内の雨水排水施設の抜本的整備
9.大岡地区の「東松山ぼたん園」「農林公園」の整備と一体の周辺地域の整備
10.古民家の借り上げ・買上げ推進と、レストラン・ホテルへの転用支援
11.「4者〈住民、業者、行政、学識経験者〉まちづくり協議会(仮称)」の設置
12.市内循環バスとデマンドタクシーを組み合わせた有効性の高いシステムによる郊外住民の公共交通機関の確保
13.ステージや舞台、運動機能付き遊具の設置、ホースセラピーの導入など都市公園の改善と整備
14.東松山東部土地区画整理地域の地盤沈下対策問題への抜本的取り組み

五、武蔵野の再生と自然環境の保全―美しい景観と生態系の保護
1.コンクリートの護岸を改修し、生き物が暮らせる清流の回復
2.市民の森の整備
3.無農薬・有機農業を普及するための助成
4.ビオトープ(生物生息空間)を全ての地域、学校、幼稚園、保育園に
5.家庭用太陽光発電設備に対する市の単独助成の復活と事業用太陽光発電設備を抑制する条例の制定
6.ホタルの生息域を全市に広げる河川環境の整備
7.荒れた里山の再生と保全、および、くらし型農業経営への実質的な支援
8.除草に馬・ヤギなどを活用して、なつかしい風景を作り出す
9.災害救助馬の実用化を目指す
10.ゴミの広域処理でなく、地域循環型ゴミ処理施設の建設とゴミ減量化の抜本的対策

(以上48項目)