総論
比企丘陵は、東京という巨大都市からわずか数十キロに位置しながら、美しい景観と生態系とに恵まれ、しかも歴史的文化的に豊かな資源を持っている。これらの資源の価値は、しかし十分に認識されておらず、政治的経済的な動機による「開発」によって破壊されつつある。この破壊を止め、価値創造的な保全と活用とに一刻も早く転換する必要がある。
このような転換にとって最も大切なことは、意外に思われるかもしれないが、「こどもの視点」に立つことである。「こどもを守る」、より具体的には、すべてのこどもに「くう、ねる、あそぶ」を保障するなら、おのずと東松山市の将来が開ける、と考える。
こどもの視点に立つとは、簡単に言えば、こどもにどうしたらよいかを聞く、ということである。そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、たとえば大学教員の能力や人格を良く見ているのは、同僚の教員や研究仲間ではなく、学生である。どこの組織でも言えることなのだが、「下から」見るとその真の姿が浮かび上がる。大人が抱える問題は、社会のなかで最も弱い存在である、こどもの視点から見たときに、解決の糸口が見つかる。しかも、こどもこそが、我々の社会の未来を担うのであり、その見解を重視する必然性がある。
このような変革は、根本的なものであり、劇的に遂行するなら、大きな悪影響が生じる。どんなにひどいシステムであっても、動かないシステムよりはマシである。それゆえ、市役所をはじめとする東松山の社会システムの作動には、まずは手をつけず、順調な運営を重視する。その上で、人々の意識の変革につながる活動を展開し、意識変革が起きたら、新しい方向に自然に移行する、という戦略を採用する。
方策
具体的な方策といっても、私は東松山に1年弱しか暮らしておらず、その地理ですらよく把握していない。どこにどのような問題があるのか、という認識は、地域政治の根幹であり、その認識が深まれば、方向性はいくらでも変化するはずである。以下に列挙したものは、現時点で私が気づいたことのメモに過ぎず、これからの過程で、より具体的なものに発展させる必要がある。
市長研究室「なつかしい未来研究室」
学校にいくのをやめた子どもたちに集まってもらい、市長と共に、東松山の未来を研究し、それを実現する具体的方策を考える。そして議員、市役所の職員、市民との協力により、実現していく。
こどものくらしづくり
- こどもが知りたいことを知る
- こどもの遊びを中心に考える
- 学校をこどもを守る基地にする
- もちろん、宿題はなし。運動会などの行事も強制しない。
- こどもの動線と自動車とを分ける
- こどもの生活リズムの安定化
- 傷ついた子どもを癒やす施設としての牧場
- 異性同性を問わず使えるパートナーシップ条例による家庭形成の支援
高齢者のくらしづくり
- 在宅医療の推進
- 医者のいらない暮らしをつくる医者を集め、育てる
- 子どもの面倒を見る仕事をつくる
- なつかしい時代を再生する仕事をつくる
- 食べ物や衣服や家具を自分でつくる楽しみと、芸術活動の喜びを生活の中心にするための支援
不動産価値の保持
- なつかしい町並みの再生
- なつかしい風景の再生
- なつかしい交通の再生
- なつかしいつながりの再生
- 巨大都市近郊にある信じられないほど美しい景観と環境と伝統文化を経済価値に転換
まちをにぎやかに
- 大通り以外は外部の自動車を規制
- 路上演奏や行商を原則許可
- 馬車を走らせる
- 古い家屋を保全改修して活用
- 空き家を借り上げ、芸術家の制作場や展示場に
ざいの発展
- 集落の中には自動車を入れない
- 補助金を出して、昔風の生活に戻す
- より昔に戻るほど、補助金を増やす
- 古民家のレストラン・ホテルへの転用を支援
- 音楽家が練習・演奏できる場を確保
- 神社やお寺を保全し、なつかしい未来をひらくための拠点に
- 伝統的な祭、婚礼、葬儀などを支援
交通を豊かに
- こども用の道をつくる
- 馬車を定期的に走らせる
- こどもの視点から危険な箇所を早急に工事する
- こどもや老人が車と一切、接触しない空間を確保する
- 歩道橋を木造や吊橋にして、こどもが通りたくなるようにする
- 軽車両専用道路の拡充、特に河川の河岸を交通路に
- スペースに余裕のある信号を、循環交差点(ラウンドアバウト)へ
- 巡回バスとデマンドタクシーとの整合的な組み合わせによる交通弱者の支援
- 運転代行への補助
- 自家用車を用いた老人のサポートへの地域通貨を用いた補助
武蔵野の再生
- 生き物の道を作る
- ホタルの生息域を拡張し、全市に広げる
- 河岸を改修して生き物が暮らせるようにする
- 水たまりを作って魚類や両生類の産卵を支援
- 田畑の無農薬化を推進
- ビオトープを全ての学校幼稚園保育園に
芸術と小商売によるくらしづくり
- 自営業者の多様な商売を支援
- 誰でも自分で商売できる方法を伝授
- 誰でも自分で芸術を楽しむ方法を伝授
- 市内の重要な芸術工芸品を保全し活用
- 小額の事業資金の多様な調達方法の提供
- 市民の作った芸術作品を買い上げて所蔵する機関を設置
- 若者のバンドやダンスの練習場を設置
- 自由に路上演奏できる地区を設定
東松山地域通貨を大幅に強化
- 地方税の納税に使えないか?
- 現金に引換える合法的な機関をつくれないか?
- スマホで決済するシステムを導入できないか?
市役所を街にひらく
- 議員の見聞を、市役所運営に直接活かしてもらうことで、議会対策を大幅にへらす
- 市役所の書類作りを大幅にへらす
- 職員の管理業務を大幅にへらす
- 職員は、街を歩き回って、何か困ったことが起きていないか、困っている人はいないかを探して回る
- それを持ち帰って市長研究室へ
- 個別の問題にあらわれた構造的問題を解明し、解決の手段を考え、実行する